前回のヒルツベルガーに続き、今回もヴァッハウの作り手
「ピヒラー」と「プラーガー」に訪問した時の話です。
FXピヒラーは現在の当主ルーカス・ピヒラーのお父さんである、
フランツ・クサファー(FX)・ピヒラーの名前が
そのままワイナリーの名になっています。
かのワイン評論家が、FXは、ロマネコンティーや
ムートンに並ぶワイナリーであると表したぐらいの
スーパーワイナリーであり、今では手に入らない
銘柄のものもでてきているほどです。
ワイナリーから車を走らせ、ドナウ川とロイベンの町が見下ろせる
急な斜面の畑でテイスティングをさせてもらいました。
ミネラリーで硬質な白ワインで、グリューナーフェルトリーナーでは
その特徴であるペッパーの香りをよく感じられ、リースリングでは花や蜜のニュアンスがあります。
すぐ近くでは雨が降っているのが見え、雷鳴が響く中、
なぜか我々のいる場所だけは雨が降ることなく、すずやかな、少し曇った空の下で飲むワインは、
深みを帯びた味わいにぴったりと思いました。
続いてプラガーにいって参りました。
現当主のトニー・ボーデンシュタインに
テイスティングと、畑の案内をしていただきました。
彼はもともと学者さんであり、ぶどう栽培に関しては独特の考えが
あるようで、ほかのワイナリーにはない特徴があります。
そのひとつがシュトゥッククルトワと呼ばれる仕立て方。
非常に狭い間隔でぶどうを一本づつ植えることにより、
根がかなり深いところまで伸びていき、
存分に大地のエネルギーを吸い上げます。
しかも一本のぶどうに付ける実は一つなので、
とても凝縮された果実を得ることができるのです。
この仕立て方により、ヴァッハウでも屈指の急斜面かつ、
標高の高い畑でもぶどう栽培が可能になったとのこと。
そのヴァッハウで最も急斜面と言われる畑に登りました。
トレッキングをしている感覚です。ここで機会の力に頼らずに作っているのだと思うと、ひときわ有り難みが増します。
すみや亀峰菴にお越しの方は
是非オーストリアワインをお楽しみください